むし歯は、口の中にいる細菌が、食べ物を餌にして作りだした酸によって、歯が溶けた状態のことをいいます。1日3回歯を磨いているのに・・・・なぜ虫歯になるのでしょうか?」という方のお話を伺ってみると「仕事をしながらのど飴をなめることが多い。」「仕事の合間にミルク入りのコーヒーを1日3杯飲む」このように頻回に口も物が入ることが虫歯のリスクを高めます。
むし歯が進行すると歯に穴が開いてきますが当院ではC1(浅いむし歯)は削らずに食習慣の改善などで経過を診ています。しかし進行した大きな虫歯になると歯の神経を取らなければ症状が治まらないこともあります。歯の神経を取るということは家屋の梁を取り除くことと同じイメージです。歯が壊れやすくなり歯の寿命が短くなります。当院では可能な限り歯を削らず神経を残す治療を目指しています。
食習慣の虫歯への影響は大きく、これらを改善することで虫歯になるリスクを下げることも可能です。むし歯を作らないためにノンシュガー・シュガーレス・無糖などを選んでいる方も多いと思います。糖質(う蝕の原因になるブドウ糖果糖ショ糖)の強調表示に関する規程は食品100g中(または飲料100ml中)の含有量が0.5g未満と規定されていますので飲料等を選ぶ時も購入時、裏面の食品表示を確認してみてください。甘いものはデザートとして食事の最後に食べることでむし歯のリスクを下げることができます。
歯を支える歯ぐき(歯肉)や骨(歯槽骨)が壊されていく病気です。日本人の40歳以上の約8割がこの病気に罹っています。日々の生活習慣がこの病気になる危険性を高めることから、生活習慣病のひとつに数えられています。歯ぎしりも歯周病を悪化させる原因のひとつです。歯ぎしりにより歯周病が悪化することもあるのでマウスピースによる治療も行っています。
当院の歯周病治療のポイントは除菌・噛み合わせ調整・歯の安静の3つです。除菌は当院で歯周ポケット内の歯石を取り患者様にはご自宅で1日1回15分から30分「ながら磨き」(youtube・テレビ見ながら、ラジオ聞きながらなど)をお勧めしています。洗面所ではなく座って初めは鏡を見ながらブラシが当たっているかを確認して丁寧に磨いていきます。そして噛み合わせを調整し歯の安静としてグラグラしている歯を固定します。またPMTC(保険外)というクリーニングも行っています。
入れ歯を作る前に残っている歯の調整(かみ合わせなど)や、高さ、噛む面の傾きに問題ないか、また今の入れ歯の噛む力の検査も必要があれば行っております。それから型取りにはいります。
歯は食べるためだけでなく身体を支えています。抜けたままにしていると脳への刺激も減ってしまいます。また、たとえば下の奥歯がなくなったままの場合、筋力があるうちは筋肉で体を支えていられますが、加齢とともに筋力が衰えてくると重い頭を支えられず首がこってくることがあります。体をささえられないといろいろな不具合が生じてきます。どうしても食べる時に入れ歯を使えない時はウオーキングの時などに体を支えるため使用してみて下さい。
近年、15歳未満の小児で障害がないにも関わらず、食べる、話すなどの口の機能が十分に発達していないことが注目されて来ています。この状態は口腔機能発達不全症と言われております。「木を見て森を見ず」の治療ではなく、機能の発達にも目を向ける治療を心がけています。生涯を通しての癖は小児期に培われてしまいます。口を開いたままでいることが成人になっても改善しないと、むし歯や歯周病にも影響します。よく嚙んでいることと、鼻で呼吸をすることで上の顎の発育を促します。姿勢が悪いと肩甲骨が後方に引かれ舌につながる舌骨が下後方に引かれ舌をあげにくくなります。すると下の動きが悪くなり顎の発育や呼吸に影響します。このような関連を考慮しながら診察することを心がけています。
大人でも歯の治療は怖い方が多いです。子供の治療では、いきなり歯を削るのではなく、バキューム(唾液などを吸い取る器具)や削る道具を見てもらったり、音に慣れてもらうなどをが必要です。C1のような浅いむし歯はなるべく削らず初期う蝕進行抑制剤を塗るようにしています。またなるべく麻酔を使わず治療を行いプラスティックをつめて治します。予防として、はえてきて間もない永久歯のシーラント(奥歯の溝を埋めて歯垢が入り込むのを防ぎます)を行っています。
虫歯予防で大切なことはダラダラ食べをしないことです。お口の中は脱灰と再石灰化が行われています。どんなにフッ素を塗布していても頻回にお口に物がはいることで唾液が酸性になる時間が長くなり歯が酸にさらされ続け脱灰が起こりむし歯になります。またお母さんからお子さんへむし歯菌が感染する時期が明らかになってきました。それは、生後19~36ヶ月、ちょうど1.5~3歳の間です。この期間に細心の注意を払っておけば、感染しても重傷のむし歯にならず、あるいは感染の時期を遅らせることにより自分の歯で生活できる年数が長くなります。
フレイルとは「虚弱」を意味しています。オーラルフレイルとは噛んだり、飲み込んだり、話したりするための口腔機能が衰えることを指し、早期の重要な老化のサインとされています。最近むせることが増えた。飲みこみにくい。口が乾く。食べ物が口に残る。など噛む力や舌の動きの悪化が食生活に支障を及ぼしたり、滑舌が悪くなることで人や社会とのかかわりの減少を招いたりすることから、全身的なフレイル進行の前兆となり近年深い関係性が指摘されています。体の筋トレをするのと同じように、これらは改善することが可能です
オーラルフレイルは『口の機能の健康な状態』と『口腔機能低下』との間の状態を現し、口腔機能低下症は疾患名、です。
そこで口腔機能低下症が疑われる場合も検査する事ができます。検査は痛みを伴わず(50才以上保険適応)行えます。舌の力の検査・唇を閉じる圧力検査・食べ物を噛む力検査など検査機器をそろえています。そして検査結果に沿って機能低下を少しでも減らせるアドバイスを行っています。生涯お口から食べるため是非予防していただきたいです。